シャドウパンデミック:家庭内暴力に対するコロナウイルスの壊滅的な影響

遠藤理愛

新型コロナウイルスのパンデミックは、多くの人々の生活に前例のない変化を引き起こし、沢山の国をロックダウンに追い込みました。 しかし、パンデミックには、UNウィメンが「シャドウパンデミック」と呼んでいる壊滅的な副作用が1つあります。それは、世界中の家庭内暴力事件の増加です

ある女性は、「夫は家で働いており、子供の学校は閉鎖されています。彼は本当にストレスを感じており、家族に対して身体的暴力をふるっています。」 と言っています。(朝日新聞、42日)

14日に休校が始まってから、様子が変わりました」と彼女は言います。 子供たちは常に家にいて、夫をいらいらさせ始めました。 いつもは、怒りを私にぶつけていたのに、子供立ちに向けるようになりました。コップを床に置いたままにするなど、ささいなことでも怒鳴るようになりました。」 BBCニュース、331日)

UNウィメンによると、昨年だけでも、2億4300万人の女性と少女が極親しいパートナーから身体的または性的虐待を受け、家庭内暴力の世界的なコストは約1.5兆米ドルと推定されています。 これらの数はコロナウイルスの蔓延中に増加しており、その後も続くと予想されています。 4月に発表されたUNFPAレポートは、3ヶ月の継続的なロックダウンごとに、性別ベースの暴力がさらに1,500万件発生すると予測しており、その数はさらに6ヵ月で3,100万人に達すると予測されています。 ヘルプラインとシェルターはより多くの苦痛の叫びを受けています。家庭内暴力の報告は、封鎖が始まって以来、フランスで30%、シンガポールで33%増加しています。

日本の団体も虐待事件の急増を報告しています。3月に学校が閉鎖され、家族が常に近距離でで生活することを余儀なくされると、東京の児童虐待防止センターへの報告が増加しました。 4月には、ある女性は夫の暴力により頭部を負傷し、後に病院で死亡しました。 夫婦は新型コロナウイルスによる収入の減少により家庭内紛争を抱えていたとされています。 パンデミックの最中に家に帰ることができなかった虐待被害者への支援システムを求めるchange.orgで始まった請願書は、同月に3万以上の署名を集め、都知事に提出されました。

監禁のストレス

なぜこの「シャドウパンデミック」が起こっているのでしょう? 「長期の監禁と経済的困難が緊張を助長し、パートナーは暴力を振るう」と日本で虐待被害者を支援するNPOエープラスの責任者は説明しています。日本では妻がしばしばストレスの多い時期に夫を支える義務を負っているとも付け加えています。 このような孤立により、被害者が助けを求めるのが難しくなります。さらに、医療システムが対応しきれなくなってくると、ヘルプセンターも新型コロナウイルスの患者のために転用される可能性があります。 「それは見えないところで加害者が相手を支配したり、暴力をふるったりする大変危険な状態です」とUNウィメンのエグゼクティブディレクター、プムゼィレ・ムランボ・ヌクカ(Phumzile Mlambo-Ngcuka)は4月に発表された声明で述べていました。

メッサーシュミットは、「男らしさと犯罪:理論の批評と再概念化」(1993)で、家庭内暴力が増加する要因としてのトキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)と「犯罪の性別に基づくという性質」というより広い社会問題を指摘しています。 社会的に構築された男らしさの型は男性に「男らしさ」を常に証明するように圧力をかけ、変わりゆく状況によって男性の役割の正当性が試されると、男らしさを取り戻すために暴力的な手段に訴える人もいます。 世界的な景気低迷の中で、多くの人の賃金が低くなったり、失業したりしています。そのような経済的困難が「男らしさの喪失」とみなされると、家庭内暴力は支配を取り戻す手段になります。

グローバルな対策

フランスは、家庭内暴力の被害者を保護するための対策を実施した最初の国の1つです。 男女平等を求める国務長官のマルレーヌ・シアパ(Marlène Schiappa)は、州が2万室のホテルを予約するのに予算を提供し、国内の家庭内虐待ホットライン番号3919を支援すると発表しました。英国では、特別な連絡手続きにより緊急事態に被害者を警察につなげる「サイレントソリューション」システムを提供し、携帯電話で55番にかけ、咳などの音で答えることにより、被害者が話さなくても警察が緊急事態であることがわかるようにしています。

カナダ女性財団が立ち上げた、家庭内暴力を知らせる簡単な手のジェスチャーを紹介する短い動画が最近話題になりました。 Signal for Helpと呼ばれる2ステップのジェスチャーは、ビデオ通話を通して助けを呼ぶことができます。

日本では何をするべきか

日本の男女共同参画局は、4月に「DV相談+」と呼ばれる国内ヘルプラインを立ち上げました。これは、家庭内暴力に苦しむ人々のためのカウンセリングサービスです。専門のカウンセラーに接続する24時間対応の電話(0120-279-889)と電子メールサポートがあり、10ヶ国語で利用できます。 また、電話で話せない方のために、12:00〜22:00の間、チャットサービスも提供しています。 全日本女子シェルターネットワークでは、日本国民の住民基本台帳に登録されている世帯主とは別に居住している家庭内暴力の被害者に対して、日本政府の100,000円のコロナウイルス給付金を受け取るための有用な情報を提供しています(方法はこちらに説明されています)。 メッセージアプリLINEを介して、多くのNGOやNPOにアクセスできます。 十代の方で安全な家がない場合、Colaboが避難所と食物を備えた安全な場所を提供します。詳細については、Voice Up Japanの最新の記事をご覧ください。

私に何ができる?

家庭内暴力は全世界共通の問題ですが、私たちは皆、個人レベルで認識を広めること、問題に取り組むことに貢献できます。 UN ウィメンのHeForSheが実施した最近のウェビナーでは、ニューヨークにある被害者支援組織のSafe HorizonのCEO、アリエル・ズワング(Ariel Zwang)がいくつかの提言を行いました。 まず、他人を勝手に判断しないでください。 虐待はしばしば隠されており、被害者は助けを求めるのが難しいか、そうすることに消極的なこともあります。 次に、ヘルプラインの電話番号または情報を記録し、誰かが助けを求めているときには気づきましょう。 最後に、寄付をしたりSNSで認識を広めたりすることで、DV被害者に必要不可欠なサポートを提供する組織を支援してください。

遠藤理愛は国際基督教大学二年生で、 Voice Up Japan ICU支部の創設メンバー。

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私たちVoice Up Japanとして、日本における共同親権について、その現状を理解したい、なぜタブーなのかを知りたい、様々に論争が繰り広げられる本題に関して建設的な議論を構築したく執筆しました。ご意見などございましたら、ぜひ下のコメント欄にお書きください。