Haruka

森崎三記子さん

「自分のために学ぶ」:「釧路モカ女性プロジェクト」代表 森崎三記子さんインタビュー

By Haruka Nakajima  Voice Up Japanでは「株式会社MOKA. (釧路モカ女性プロジェクト)」代表・キャリアカウンセラーの森崎三記子さんにお話を伺った。森崎さんは2011年に「釧路モカ女性プロジェクト」、2017年に同プロジェクトを内包した「株式会社MOKA.」を設立。北海道釧路市を拠点に、女性に向けたキャリア支援を行っている。ホームページには「どんな立場でも参加でき、仲間と話しているうちに自分を発見し、何かアイディアが生まれて就労のステップが踏める、そんな場所を作りたい」と、森崎さんの思いが綴られている。自分らしさについて考え、キャリアへと繋げるための講座「Moka’s school」運営や、漁網を使ったタオル・たわし「くしろ漁網シリーズ」による雇用創出など、活動は多岐に渡る。今回は団体設立の経緯、活動内容や釧路市ならではの取り組みについてインタビューした。 「釧路モカ女性プロジェクト」のはじまり  東日本大震災がきっかけになったという「釧路モカ女性プロジェクト」は5月で設立10周年を迎えた。森崎さんは当時ハローワークで個別相談に乗っていた。 「どちらかと言うと女性の個別の相談を長くやっていたんですね。その途中で東日本大震災があって、震災の後はみんな下を向いている感じがすごくしたんですよ。 いわゆるうつ状態で来るような方も目立ってきて。それって子どもにすごく影響するなと感じていたんですね。それと並行して、10年前はまだまだ企業側から小さい子供がいる女性は雇いづらいとか、20代の半ば過ぎくらいになると、いつ結婚して子どもを産むか分からないから雇いづらいとか、そういう声がすごく大きくて」 そうしたなか「釧路モカ女性プロジェクト」を始める。 「私は子育て中の女性や、一歩先に踏み込むのに、どうしようかなと踏みとどまっているような方たちと携わることが多いです。その方たちが手作りしている手芸品やお菓子、子ども服を販売するようなイベントを実施したり、大学の先生にお越しいただいて、男女共同参画、ジェンダー、SDGs、LGBTについて学んだり。「学ぶ」ということをテーマに活動しています」 Moka’s schoolについて 「元々は釧路市の事業として平成26年度から始まり、過去7年間やってきてます。 1回〜2回のいわゆるセミナーではなく、スクール形式です。『ひとりの人間として何か学ぶ』ということをまず大前提としています。大体2ヶ月から2ヶ月半くらい、最初は自己紹介や他己紹介など自分の言葉に責任を持って発信して、人の言葉にもちゃんと耳を傾けて、自分の頭で考えるという訓練をしています。 どうしても、まだまだ女性=育児や介護というのがつきまとってくるので。それはまた別の問題なんですが、そんな中でも自分のことをちゃんと見つめて『私』として生きるということをテーマにして学びをやっています。 発信することの大切さを学ぶとともに、スクールの中で講師の体験をしてみたり『こんな人の話を聞きたい』という案をどんどん出してもらったりして、自分たちで作る講座です。(内容は)一応は決めておくのですが、後は受講生の方で『こんなことをやりたい』というものを出してもらって、なるべく自主運営をしてもらうようにします。最終的にはプレゼン大会をして、『私ってこうなんです』『私は今後こういう風にやります』というのを、皆の前で発表する。最初は人の前で話ができないという方たちも多いのですが、最終的には堂々とお話をする方がほとんどになっています」 大切にしているのは「私として発信すること」。現在、企業や各市町村で「ジェンダーバランス」や「ジェンダーギャップの解消」への取り組みを行うところも増えているが、ジェンダーバランスを阻んでいるものは何だろうか。森崎さんは意識の問題を挙げる。 「国はジェンダーギャップをなくすように、いろんな取り組みを大企業にさせているんですね。ただそこに女性の気持ちが追いついていけない。地方都市だからなおさらなのかもしれないですけれども、いわゆる『腰掛けでいいや』という気持ちがすごく多いのを感じていたんですよ。段々と、「女性も社会の中で働いた方がいいんじゃない」という思いの人たちが、すごく増えてきているような気がするんですけど、でも(女性が)家庭に自ら縛られにいっているよう。 それは親の代、その前の世代から家庭教育の中で、知らず知らずのうちに身についてしまった考え方だと思うんですよね。私がもう一つ力を入れているのは、キャリア教育です。学校だけがキャリア教育の場ではなくて、まずは3歳ぐらいまで家庭でのキャリア教育というのも、非常に重要なんじゃないかなと思っています。そのためには母親の考え方というか、そこを少しずつ修正していく必要性があるのかなと、すごく感じています。なので自ら発言するという訓練をする。自分の言葉で発するというのは、すごく責任を持ってしなくてはいけないので。そんな考え方・暮らし方をしていく方が、多分幸せじゃないのってことを、ずっとテーマにお伝えしているんです。 日本人ってまだまだ自己表現が上手じゃない。世界に随分遅れているというのが、私はジェンダーギャップ指数に繋がっているんじゃないかなと感じています。そういう訓練が家庭内でなかなかできていない。急に学校に行ってからやりなさいとか、社会人になってから背中を見て覚えると言ったって、無理じゃないですか。趣味や興味だとか、みんなで集まってワイワイ楽しく会話をするとか。そんななかで、知らず知らずに身に着くような形があればいいなと。それが子供たちに伝わるかなと思っています」 イベントやMoka’s schoolでの活動も、それぞれの興味や経験を活かしている。これまでのイベントの内容や受講生についても聞いた。 「スクール生では、ベビーカーにお子さんを乗せながら、お母さんがダンスする『ベビーカーダンス』をやっている人もいました。それを(他県で)やっているなかで、釧路に転勤という形になって。Moka’s school内では、必ずキャリアカウンセリングを3回以上はするんですが、そこで(ベビーカーダンスが)出てきて、『じゃあそれ釧路でやってみようよ』と。まずはスクール内で、みんなに教えてもらって、そのうち会館を借りて教室を始めました。栄養士さんで、しばらくやっていなかったけれど、アレルギーに特化したことをやりたいと言う人もいて、『Moka’s schoolでやろうよ』ということに。釧路みたいなちょうど良い大きさの都市だと、老舗のケーキ屋さんと繋がることができるので、そこでアレルギーでも食べられるケーキを出すとかね」 転勤で来た人と、地元の人を繋げる 参加者はMoka’s schoolを卒業後も、SNSなどを通じて自由に活動を続けている。 「設立当初は、会費も集めて運営していたんですけれど、どうしても縛りができてしまうので。だったら出入り自由に。それよりも、例えば  LINE のグループを作ったりとか、いつでも声をかけたら集まることができるような関係性です」 「ここ2〜3年くらいは、夫の転勤で来る方も多いです。北海道は広いので、北海道内の転勤が多く、日本全国転勤の人も結構います。そうすると、2〜3年で夫が転勤となることもありますが、今は SNS で繋がるなど、遠くに行ってしまってもそんなに離れてるような感じはしません。私は女性の起業支援もしているのですが、例えば起業をするにしても、それが釧路で出会った人達の刺激を受けながら釧路で始めたということを、自分の中にインプットしてもらいたいと思います。釧路でゼロから始めたものを、5、6のフェーズまで持っていくと、違った土地に行ってもゼロからではなく、1、2ぐらいから始められたりする。 漁網タオルに関しても、観光客の方にお土産に持って帰って頂いて、日本全国に広めてもらえたらいいなと思っています。転勤する人たちも広めてくれるので、釧路を知ってもらうきっかけづくり。お互いに上手く使える部分、共同作業としてやりたいよね、ということは常に言っています。」 そうした転勤で訪れた人は、市の取り組みにも影響を与えているという。 「転勤で来る人たちは、いろんな地域を見てきている。そうすると『釧路は、ここは遅れているよ』とか(教えてくれる)。例えば釧路に転居してくるとなった時に、住所だけではどこに何があるのか全然分からない。それを釧路市のホームページで見ようとするけれど、情報が全然仕入れられないと言っていた人が、たまたまMoka’s school生として来て。小学校や幼稚園の場所だとか、スーパーマーケットがあるところが外からだと分からないので、今から3年位前に彼女たちが発信を始めました。今でもツイッターやインスタグラムで発信をしています。今度はそれを子育てのための情報誌として、地元の新聞社で発刊できるように。私は地元人なので、地元の企業とは昔から繋がりがあるけれど、転勤の方はそういう意味では繋がりはない。私の役はそこを上手く繋げること。子育て情報誌を発刊したことで、そのグループが市からも注目を浴びてきました。例えば子育て中の女性、若い女性、転居してきた方の目線として、市の連絡会議などに呼ばれています。そうした感じで、結構発言力が強くなってきたというか、市側が耳を傾けることが多くなりました。例えば市内の共用トイレに、子どものオムツ交換台を作るなど、全然関係ない人にしてみたらすごく小さなことかもしれないですけれど、当事者にとってはとても大きなことに対し、市がすぐ対応してくれるようになってきていますね」 今後の取り組み 最後に、今後の取り組みについて伺った。 「学びのきっかけですね。ついつい日々の生活に追われて、学ぶというのを意識しなくなってしまいます。子どものために何か学ぶとか、家族のために料理を勉強するとか、それはそれでいいんですけれど、『ひとりの人間として、私がやりたいことを学ぶ』ということを伝えていく。自分の人生って、自分のものなので、自分の人生を大事にしたいねっていうことを伝えています」 森崎さんは「釧路モカ女性プロジェクト」の活動を通し「自分の人生・考え方を大切にすること」を伝えている。 「地方」の課題として、過疎化やジェンダーギャップが度々取りあげられる。しかし、「釧路モカ女性プロジェクト」は釧路市の特徴を活かし、転勤で訪れた人と地元の人を繋げることで、それぞれが挑戦したいことに踏み出すきっかけを作り出している。 株式会社MOKA.(釧路モカ女性プロジェクト)ホームページ

thumbnail

Why are there no sanitary products in school’s washrooms?

by Haruka Nakajima /Translated by Sachi Kikuchi “Why are there no sanitary products in the washrooms?” Starting with this question, Rino Nakashima, a sex education producer, planned the “Exhibition of Sanitary Products”. Last year, the exhibition held at the event, SFC Creative Week, at Keio University Shonan Fujisawa Campus (SFC) provided an opportunity to reconsider …

Why are there no sanitary products in school’s washrooms? Read More »

Disasters and Gender

Disasters and Gender

By Haruka Nakajima / Translated by Sachi KikuchiIllustration by Emily Howard  Many disasters, including earthquakes and typhoons occur, but how is disaster-prevention, based on the equal treatment of genders, being carried out? In this article, I’d like to consider disaster countermeasures from a gender perspective.  1. Increased Violence  Violence appears in all forms during a …

Disasters and Gender Read More »