アラバマ州の妊娠中絶法律、解説

金子理

jordanuhl7 [CC BY 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/2.0)]

アラバマ州でいかなる段階でも妊娠中絶を禁止する法律が成立しました。
すでに日本でもtwitterで注目を集めています
 

この法律の下では、妊娠直後から、レイプや近親相姦の例外もなく、母体の命が危険にさらされている以外の状況ではいかなる妊娠中絶も禁止し、中絶を行った医師は禁錮99年の刑になります。
 
民主党が上院でレイプや近親相姦への例外を加える修正案を出しましたが、全員男性のアラバマ州共和党上院議員が修正案を否決し、例外がないまま共和党のアイヴィ州知事が署名して法律が成立しました。 ある上院議員は、レイプと近親相姦の例外を否決した理由をこう説明しました「神が女性の子宮に命を創りたもうた時、我々人間がそれを消すことはできないと信じます」
似たような妊娠中絶を規制する法案は最近各州で提出されてます。オハイオ州、ミシシッピ州、ケンタッキー州、ジョージア州で議会を通過した法案は「心拍法案」と呼ばれており、胎児の心拍が検出された段階の妊娠6週目で妊娠中絶を禁止する法案です。
 
妊娠6週目では自分が妊娠していることにも気づかない女性が多いです。この心拍法案、詳細は各州ごとに異なりますが、ジョージア州では妊娠6週目以降の胎児を「人間」とするため、6週目以降に中絶すると女性が「殺人」に問われる可能性があります。この場合、妊娠中絶に寛容な州で中絶を行ってもジョージア州に戻れば犯罪に問われる可能性があります
 
アラバマ州オハイオ州ではアメリカ市民連合などの人権団体がこれらの法律がアメリカ合衆国憲法に違反するとして訴訟の準備をしています。一方でこれらの法律を提出した州議員らは最高裁で争って最終的には妊娠中絶は憲法上保護されている権利と判断したロー対ウェイド判決を覆そうとしています。
 

大きな影響を与えているのは去年最高裁判事に就任したブレット・カヴァナーです。カヴァナーの就任は、彼が高校生の時に飲酒をして当時高校生の少女に対して性的暴行を加えたという疑惑がある中で行われました。カヴァナーは穏健派と見られていたアンソニー・ケネディ判事の後任ですが彼の思想はかなり保守よりです。妊娠中絶派の政治家は、カヴァナーが就任したことで最高裁のバランスが完全に保守派に傾き、ロー対ウェイド判決を覆せると考えています。カヴァナーの被害者のクリスティーン・ブラジー・フォード博士の証言は以下で視聴できます。

 

これらの一連の妊娠中絶規制法案に対して、女性として初めて二大政党の大統領候補に担った2016年の民主党大統領候補のヒラリー・クリントンは「アラバマ、ジョージア、オハイオ、ミシシッピ、ケンタッキーの妊娠中絶禁止は女性の生活と基本的人権に対する攻撃です。女性の権利は、人権です。私たちは引き下がりません」と声明を出しました。

 

政治家に加え、女優のミラ・ジョコビッチ、歌手のレディー・ガガなど著名人が次々に妊娠中絶禁止法案を批判する声明を出しています
 
アメリカ国民全体もこの意見に賛成しているようで、ピュー研究所による調査では、アメリカ国民の58%が妊娠中絶は「すべてもしくはほとんどのケースで合法であるべきだ」と考えていることがわかりました。