米国大学内での性的暴行/レイプ統計
~5人に1人が被害にあっている~

Written By 加藤わかな

米国では、キャンパス内での性的暴行・レイプが社会的問題として大きく取り上げられています。日本はどうでしょうか?慶応大学で発生した集団強姦事件などありました。 しかし、このように大きくメディアに取り上げられるもの以外で、なにが起こっているか把握できていません。日本でのキャンパス内での性的暴行やレイプ・セクシャルハラスメントの実態はまだ調査されておらず、状況を把握することができていません。

 
 
そこで、Voice Up Japanでは、大学生を対象にキャンパス内での性的暴行/レイプ/セクシャルハラスメントの実態をつかむため、アンケートを行っています。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSce2VziTZIPVkapZOm4aokHP6tjryRNIdM28_qIAUvENQ3gGQ/viewform
 
調査には様々な障害がつきものです。しかし、調査をし、統計結果を出すことによって、「議論に火をつけられる」ことができると考えています。
 
以下の2014年12月16日に投稿されたTIME誌の記事が、調査の方法・短所・長所を記載していますので、日本語に訳し、紹介します。
 
 
 
 

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クリストファー・クレブズとクリスティーン・リンドクィストはアメリカの非営利研究所RTIインターナショナルの公正・安全・復興研究センターに属する上級社会科学研究員。2007年に、アメリカ国立司法省研究所の資金で、米国の大学における性的暴行の調査を指導した。

 
 
 
アメリカの大学における性的暴行の議論を追っている人であれば、米国の大学のキャンパスにおいて5人に1人の女性が性的暴行やレイプの被害に遭っているという主張に、似たものを聞いたことがあるだろう。もしかしたら、5人に1人の女性が大学でレイプされたことがある、という、誤って省略されたバージョンを聞いたことがあるかもしれない。
「キャンパスにおける性的暴行に関する調査」を担当した我々研究者2人は、この数字を生み出した者として、誤解を解いて事実関係をはっきりさせる必要があると考える。研究当時は、可能な限り最も優れた調査法を使ったが、「5人に1人」という統計結果を今日使われているような形で用いるのは適切ではない。アメリカのキャンパスレイプや性的暴行問題を議論する際に、最も基本の、または唯一の数値として取り上げるには注意が必要だ。
まず第一に、「5人に1人」という数字は、アメリカ全土の性的暴行被害の実態を代表するものではないということである。統計を行ったアメリカの南部と中西部の2つの公立大学に在籍する大学四年生の女性のみを代表するデータとしてしか、我々は提示したことがない。
第二に、この数値はレイプだけでなく、強制的なキスや痴漢など法的に性的暴行として成り立ち犯罪に当たる行為の被害者を含んだものである。レイプ、つまり不同意の性交被害のみに絞ると、調査対象の大学の四年生の女性における数値は14.3%(7人に1人)に減少する。
また、いくつかのメディアの報道内容とは異なって、「5人に1人」の数値には、性的暴行未遂の被害者は含まれない。統計は性的暴行未遂でなく実際に行われたケースのみを扱うものである。
さらに、この研究はインターネットを使った調査であったため、回答率が比較的低い(42%)という短所がある。無回答率の分析では、回答者と無回答者の間の年齢、人種、学歴における大きな差異はなかったことが分かったが、無回答バイアスが調査の分析結果に良くも悪くも影響を及ぼした可能性は否定できない。性的暴行被害者が、この調査に参加する傾向が強かったのか弱かったのか、知る由がないのである。対面インタビューは高い回答率を得られることが多いが、時間もお金もかかる上、質問事項の性質上回答者に匿名性とプライバシーを与えた方がより正直な回答を得られる可能性が高かったのである。つまり、回答率の低さのデメリットはコストの低さとデータのクオリティの高さにカバーされたのだ。
 
ここで、我々のこの調査に参加した女性がどうしたら「5人に1人」の数値に含まれるか、説明する必要があるだろう。調査で無作為に抽出された大学生の女性5,446人は、この調査が「不同意または望まない性的接触」について次の質問をするとの説明を受けた:
 
・無理やり性的に接触された(強制的なキス、陰部への接触、性的に掴む、撫でる、擦ること。また、服の上からか否かは問わない)
・オーラルセックス(誰かの口または舌があなたの性器に触れる、またはあなたの口または舌が誰かの性器に接触すること)
・性交(誰かの陰茎があなたの膣に挿入されること)
・アナルセックス(誰かの陰茎があなたの肛門に挿入されること)
・指または異物を用いた性交渉(誰かが指またはボトルやロウソクなどといった物をあなたの膣か肛門に入れること)
 
様々な質問をされる中、望まない性的な接触に関する経験について質問をされると知らされたあと、学生たちは次の2つの重要な質問を問われた。
 
①「大学に入学してから、物理的な力または物理的に傷つけるという脅迫の下で誰かと性的な接触を強いられたことはありますか?」
②「大学に入学してから、あなたが気絶していた、薬物の影響下であった、泥酔していた、体を動かすことができなかった、睡眠していたなどという理由のために同意を示すことができなかったかまたはあなたに起きている事を制止することができなかった状況下で性的な接触を強いられたことはありますか?また、この質問項目はあなたが、起きたことについて確信を持っている事柄について問います。」
 
統計のうち5人に1人 (19.8%) にも登る性的暴行またはレイプの被害者たちは、大学四年生であり、かつ以上の2つの質問のうち少なくとも1つに対して「はい」と答えている必要がある。
 
私達のレポートでは、このような性的暴行の被害者のうち、後にその性的な接触の種類を問われた際に「無理やり性的に接触された」と回答したものは性的暴行のみの被害者という風にカテゴリ分けされ、その他(オーラルセックス、性交、アナルセックス、または指や異物を用いた性交渉)を選択したものはレイプの被害者としてカテゴリ分けされた。
上述されたように、この調査には短所がある。しかしながらいくつかの理由からこの調査結果には価値があると考えられる。
 
今回の調査はそのような性的暴行についての議論に火を付ける役割を果たしている。
 
 
まず一つ目にこのような調査は調査法や計画を立てる上で難しい点が存在するが、私たちは客観的な立場で、与えられた予算と当時の状況を踏まえた上で出来る限り正確な手法を取ってこの研究を行った。
次に、私たちの調査は学生が経験した性的暴行に関する他の調査の結果と矛盾しておらず、さらに、学生たちが経験した性的暴行について、彼らに直接、行為に着目した言葉を用いた調査を行う事がやはり性的暴行の頻度を測る上で最も科学的に有用なやり方であった。調査の結果には短所があるが、一般的に性的暴行に関する警察や大学内の犯罪データよりも正確なデータであると信じられている。性的暴行の被害者の大部分は警察や他の権威ある機関に対して自身の経験を通報しないので、犯罪に関する公式の統計は性的暴行の頻度を非常に低く見積もってしまうからだ。
さらに、性的暴行は、今回協力した2大学だけでなく恐らくほとんどの大学で起きており毎年何千人もの学生に悪影響を及ぼしているのだが、今回の調査はそのような性的暴行についての議論に火を付ける役割を果たしている。私たちはこのような議論の一部になること、またこのような問題に対して注意が向けられている事を嬉しく感じる。特に、大学やサポート機関、警察や司法制度が被害を抑え、通報を促し、被害を受けた方の需要に応え通報された事件に対応するために改善できる点が数多くあるのでなおさらだ。
 
私たちはこれまでに行われた調査をさらに改良し、その上に基づいて現在行われている調査に対して最もワクワクしているのかもしれない。例えば、RTIでは司法省統計局、女性に対する暴力事務所、そしてホワイトハウスと協力して大学キャンパス内の現状と性的暴行に関する有効で信頼性のあるデータを収集するための調査機器や調査方法を開発するために新たな研究にとりかかっている。
たとえ性的暴行の頻度に関して絶対的な推定は不可能であるとしても、これらの新しい調査努力はより大きな規模を有し科学的に最も優れた経験を利用しているため、方法論的な改善とそれによって調査結果の有用性と有効性を向上する事ができる。調査を進める中で得られるメソッドと知識を利用することで私たちは様々な大学の学生達からおそらく一年ごともしくは通年の情報収集を伴う有意義な調査計画を見通すことができるようになり、性的暴行に関して全国的な標本と大学別の推定値を作り上げる事ができるようになるだろう。