不完全な同性パートナーシップ証明制度の次の段階は如何に

同性パートナーシップ証明制度を取り組む自治体が増えている近年。この制度は同性カップルを認めるステップとなったが、平等への道なりはまだ終わっていない。Voice Up Japanは同性パートナーシップ証明制度がどのようなものであるか、また、それが日本のLGBTコミュニティにもたらす影響を理解するべき、2021年にこの制度を導入する予定である名古屋市に住む人たちをインタビューしました。

written by エリフ・エルドアン

Translated to Japanese by Ayşe Haruka Oshima Açıkbaş

現在60ヶ所で施行されている同性パートナーシップ証明制度。2020年10月からはそこにもう16個の自治体が加わることになる。平等への一歩ではあるが、結婚と同等のものではない。地元政府により存在を認定されるものの、自治体によって与えられる権利が違い、法的な拘束力がないことになる。同性結婚の合法化に取り組んでいる非政府組織(NGO)Marriage For All は遺言書が無い場合の相続が不可能、外国人のパートナーは配偶者ビザが取れない、パートナーと家族としての病院面会が出来ない、子供とパートナーが法的に家族になれないなどといった結婚との違いを述べている。他の点も含めて、同性パートナーシップは結婚と同等ではないのだ。 


Figure 1 Number of Local Governments in Japan Recognizing Same-Sex Partnership
The figure shows that there have been 1301 people getting the partnership certificate by 30 September 2020. There have been 60 local governments employing same-sex partnership systems by 1 October 2020, which covers 29.6% of the population.

「カップルだと認証するただのメダルなようなものですね。」と淳一1さんは言う。夫のアリスターさんとは東京のイギリス領事館で結婚した。イギリスでは同性婚が認められているのだ。アリスターさんは「法的な権利は日本が外国人との同性婚を認めるまで無いでしょう。母国に結婚を認めてもらえていない状況。」と言う。同性パートナーシップ制度について淳一さんは「現状では最小限な権利しか与えられていない。終わりではなくまだまだ始まりですね。」と言う。


[1] Names are changed to Allister and Junichi to privacy reasons. プライバシー保護のため仮名を使っています。

統一されていない制度

自治体によっては同じ市内に住んでいないとパートナーシップ証明書がもらえない場合があると淳一さんは言う:「場所によって制度が違うので紛らわしいです。例えば沖縄と札幌にはパートナーシップ制度がありますが、県外の人とはパートナーになれません。」続けて「お金がかかるなら多分やらないと思います。名古屋のパートナーシップ証明書をもらっても何も手に入りませんから。」とパートナーシップ制度があっても何も変わらない事を強調した。




最も同性パートナーシップ証明書を発行した10自治体
虹色ダイバーシティにより提供された2020年9月30日の時点でのデータです

結婚の自由をすべての人にの裁判

2019年2月に同性カップルが結婚の不平等を名古屋地裁に提訴した。その日の意見書を振り返る風間孝教授は「カップルとして相手をケア出来ないことが問題なんだと思います。」と言う。中京大学で勤務する風間孝教授は非営利組織Proud Lifeの副会長でもある。「Proud Lifeは名古屋で同性パートナーシップ証明制度が導入されるよう署名活動をし、立法者に提出し、ロビーイング活動を行なってきました。」

 「パートナーが病気でもそばにいてあげられない。パートナーが入院しているときなど、何かを決断できる状態でない場合、その決断責任を代わりに負うことができない。家族として認められないから同じ苗字の元にローンを組めないので公営住宅を借りることもできない。子供がいても、パートナーと子供は法的に家族になれない。例えばHIVなどでパートナーが亡くなると、遺言書が書かれていない場合、遺産相続ができない。パートナーが外国人だとしたら配偶者ビザがとれないから、国へ返されてしまう可能性がある。」と風間教授は同性婚が認められていない今の艱難を語る。加えて同性パートナーシップ証明制度の社会的意義について「今まで社会の中で見えない存在であった同性カップル達が少しでも認められてきていることは、大きな変化です。」と言う。


中京大学で勤務する風間孝教授は非営利組織Proud Lifeの副代表理事でもある

同性婚合法化がトランスジェンダーの人たちをも解放すことを風間教授は説明する:「異性同士の結婚の中で一人が性転換した場合、それは同性婚になります。しかし同性婚が認められていないため、性転換したい既婚者は一度離婚しなくてはなりません。だから離婚するか性転換をあきらめるかのどちらかの選択をしないといけない。」

淳一さんは「勝訴が確定したら法が変わり、同性婚が認められるかもしれません。しかし台湾みたいに同性婚と異性婚が同等の権利を持たない国もあります。」台湾は同性婚が合法化されていない国が出身の外国人との結婚を認めていないのだ。

政治家は国民の声を聞かなくてはならない

「LGBTの権利に関しては大半の政治家は肯定的な態度を示しますが、それは票を得るためです。」と名古屋を中心としたLGBT活動を行なってきたLGBTバー店長のEsamanさんは言う。四年前に立候補者のLGBTに関する政策方針を調査した結果、意外なことに殆どが肯定的な反応をみせたとのこと。「行政の肯定的な態度がある中でも、当事者であるLGBTはあまり声を上げない傾向です。ロビーイングは大事です。市役所に足を運べば、物事は変わる。皆、政治家をどう働かせるべきかわかっていないんですね。彼らは声を聴くもらうために税金で給料をもらっていて、私たちが選んでいます。」とEsamanさんは現状を変えるために、ロビーイング活動と地方政治との繋がりの重要性を強調する。

Esaman at Nagoya Lesbian Gay Revolution Plus (NLGR+) in 2012

「政治に女性が加わるまで変化はないだろう。他の問題が少しでも取り上げられるためには、男性ではなく、その活動をやってきた女性達が必要です。」とアリスターさんはイギリスの女性議員の増加が同性婚合法化につながったことを振り返りながら言う。「ロビーイング活動はするべきです。デモも大事ですが、それでは足りないのです。」と付け加える。

同性婚合法化は??

同性パートナーシップ証明制度そして次には同性婚合法化で社会平等は手に入るのか。「前に比べてもっとオープンになってきているが、社会は根本的には全然変わっていない。バーのお客さんの中に、高校生の頃はレズビアンである事を隠していなかったのに就職してから隠すようになった人がいます。」と言い、Esamanさんは社会の中で特に職場がいまだにLGBTを受け入れていないと指摘する。「セクシャルマイノリティが身近な存在だということをもっと知ってほしい。親や子供がそうである可能性がある中、こういった会話はとても大事だと思う。友達ではいないとかそういうことではない。」

「現代の差別問題の根本にあるのは性別二元性と異性愛規範です。変化を起こすためには教育の場で幼い頃から子供に性の多様性をきちんと伝えるべきです。企業レベルでも変化が必要です。大勢のセクシャルマイノリティは就職しているわけですが、結婚したら同性愛者だということが周りに知られます。なので同性婚が可能になっても、職場での差別と偏見が続く以上、同性同士で結婚する人は少ないままでしょう。」と風間教授は言う。

• NPO「Marriage For All結婚の自由はすべてのひとへ。」の活動をもっと詳しく知るためにこちらの リンクをクリック

• • Proud Lifeのビジョンはセクシャルマイノリティが希望をもって生きられる社会、性的指向の多様性を受け入れる社会を作ることです。ミッションはセクシャルマイノリティへの支援とエンパワーメントです。ネットワークの形成と性的指向について関心を高めることでマイノリティへの差別に抵抗する。 Proud Lifeは毎週月曜日に相談窓口を設置しています。現在、LINEとSNSを使った相談も受け付けています。相談窓口についてもっと詳しく知るためにこちらのリンクをクリック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です